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2024/02/05

夫婦仲は良いけどモヤる▶完全に赤信号

 私がお受けしているカウンセリングの専門ジャンルは、人間関係全般です。老若男女を問わず、日々様々な方からご相談をお受けしています。明確に悩みとして自覚している方もいらっしゃれば、悩んではいないけれど話を聴いて欲しいという方、よく分からないけれど違和感があるなど、苦しみの段階は人それぞれです。
悩みとは、人が成長するための試練として、その人が乗り越えられるよう最適な形で現れますので、その人の感度により悩みに気付くタイミングも異なります。自分ではそこまで深刻ではないと思っていても、わざわざカウンセラーに相談に来るという行動を時間と労力とお金を使って取っているわけですから、そこには大切な意味があるはずです。
カウンセラーというのは、話を聴くという受け身の仕事ではありません。クライエントさん自身も自覚できていないその大切な意味を、こちらから掴みに行くというアグレッシブな作業なのです。傾聴=アクティブ・リスニング、とはまさにこのことです。
本日ご紹介するエピソードでは、なぜ今このタイミングで相談に来られたのか、その意味を掴みに行きます。 

【相談内容】
30代 女性 Bさん
4児(9~1歳)の母で専業主婦。
経済的に余裕もあり、生活は恵まれている。
特に困っていることはないが、少しだけモヤモヤする。
夫婦仲も良いのに、わがままなのだろうか? 

■主訴
恵まれているのにモヤモヤするのはわがまま? 

■人物像
CP、FCが高く、明るく快活な頑張り屋さん。
自意識が高い。
禁止令/自然に感じてはいけない
ドライバー/人を喜ばせろ、強くあれ、努力しろ 

■見立て
専業主婦として4人の子供達の安全を守らなければという緊迫感の張りつめた日々。 
絵にかいたような幸せな家庭生活でも、誰にも理解してもらえない孤独感を抱えているのでは。
いつも素敵なママでいなければ、という高い理想の中で苦悶。 
夫からの不動の愛に確証が持てず、精神的な支えとなるものがない不安感。    

この分析をもとに、共感して主訴に応えた一言がこちらです。         

「完全に赤信号」

 


 このケースは、現時点で特別な問題が起きているわけではないため、緊急性は無いように思われるかもしれません。頑張り屋さんのBさんは、大黒柱として十分な収入で家族を支えてくれている旦那さんに弱音を吐くこともなく、孤独に任務を遂行してこられたのでしょう。しかし、問題なく平穏な日々が送れているのは、このBさんが日頃から細心の注意を払い子供達の安全を守り抜いてきた立派な成果です。これが母親業ではなく仕事であれば、十分な実績とキャリアとして給与や待遇に反映され、自他共に承認が得られるレベルの話です。子供の命を1人で守らなければいけないという状況は、24時間臨戦態勢ということです。それを約10年も当たり前のこととしてやり続けてきて、誰からも認められず終わりも見えないとなると、誰だって自分を見失いそうになるのではないでしょうか。Bさんの感じたなんとなくのモヤモヤが、私には崩壊寸前のアラートに思えたのです。誰よりもBさん自身が危機感を持たなければ、きっとこのまま無理をし続けるでしょう。そうなった場合、Bさんや子供達など大切なご家族が危険な状況に陥るという最悪の未来がいくらでも予測できてしまいます。それに気付いていただくための共感が、「完全に赤信号」=直ちに止まれ、だったのです。
 

 Bさんはとても驚いておられました。そして自分がわがままでも変でもないことを認めてもらえて、救われたような気持ちになったそうです。何も起きていない段階でわざわざカウンセリングに来た意味とは、ご家族を心から愛するBさんだからこそ、感度の高いセンサーで敏感に危機を察知していたからだったのでしょうね。このカウンセリングが、母として妻として、自分で自分を認めてあげる機会にもなりました。
 

 そしてそこまで理解できたBさんに、アドバイスとして夫婦旅行をご提案しました。
信頼できる人に子供達を預けて、24時間2人だけで過ごす時間を持つのです。経済的な余裕があり、夫婦仲の良好な段階ならばまだ間に合う対策です。Bさんのモヤモヤがイライラまで進行すると、この方法は使えなくなりますので、今が最後のチャンスです。「夫婦仲が良い」とわざわざ仰るのは、実際には本音を気兼ねなく言いあえる関係ではないのでしょう。もっと旦那さんに愚痴を言って甘えるよう指示したとしても実行するのはかなりの抵抗があると思われます。Bさんもそんなことを望んでいるわけではありません。子供達を守り育てる苦楽を分かち合える唯一無二のチームメイトである旦那さんと、お互いを労い感謝し合うためには、まずは親というユニフォームを脱いで重責から解放される時間と空間が必要であると考えました。これが一夜のディナーやプレゼントでは話になりません。戦士の休息なのですから、鎧を脱いでも安全であると確約された十分な時間と空間がポイントなのです。
 

 子供の有無に関わらず、何十年と長い歳月を共に生きる夫婦の道のりは、難所の連続です。そんなご夫婦の危機を一早く察知しリスクヘッジするBさんに、我が身を顧み頭が下がる思いでした。

 ※実際のケースを基にしていますが、お名前や年齢などの設定は仮のものです。

夫婦仲は良いけどモヤる▶完全に赤信号2
夫婦仲は良いけどモヤる▶完全に赤信号2
夫婦仲は良いけどモヤる▶完全に赤信号3
夫婦仲は良いけどモヤる▶完全に赤信号4

2024/02/01

介護苦からの不倫をやめたい ▶やめなくていい

 私は、外見が比較的女性らしく、ふにゃふにゃと喋るため、優しそうという印象を持たれることが多いです。しかし、私のカウンセリングを知る方々は皆さん私を評して『どSカウンセラー』と仰られます。倫理観や既成概念に捉われたくないという重篤な厨二病気質によるものでしょうか。ですから、一般的なカウンセリングのイメージで相談してこられた方々は驚かれることが多いです。要はパンチが強め、というか強烈らしいです。どの辺りが強烈なのかというと、最も特徴的なのはやはり共感の部分です。カウンセリングというと、「それはお辛かったですね」「寂しいですよね」など、頭をヨシヨシするような言葉掛けのイメージがあるかと思います。ですが、自分が悩みを打ち明けた時に、そんな表面的な慰めを言われても毒にも薬にもなりません。むしろ“所詮他人事”として扱われているようで腹が立ちますよね。それは、共感ではありません。では、どSカウンセラーならどのように共感するのか、私の相談録を1つずつご紹介していきます。 


※実際のケースを基にしていますが、お名前や年齢などの設定は仮のものです。
【相談内容】
40代 女性 Aさん
育児の傍ら、同居する認知症の義母を介護中。
ストレスから隣人と連日不倫を繰り返している。
夫を愛しており、猛烈な罪悪感と欲求をコントロールできない自分に自己嫌悪。
不倫をやめるにはどうしたらいいか。 

■主訴
不倫をやめるにはどうしたらいいか 

■人物像
ACやNPが高く、真面目で優しい。
周囲(特に夫)からの評価を気にしている      
禁止令/自然に感じてはいけない、楽しんではいけない      
ドライバー/完璧であれ、強くあれ 

■見立て
1人でやりきれる仕事量ではないにもかかわらず、夫からの承認を得るために無理をしている。      
「育児も介護も完璧にできれば夫に愛される」という理想の設定に誤りがあり、Not OKのミニ脚本に陥っている。      
夫、子供、義母の雑務により自分が蔑ろとなり自尊心が低下。      
心身共に限界を超えていることが自覚できていない。      
頑張るためとはいえ、夫を裏切る行為を繰り返すたびにI’m not OK(私はダメ)が強化されていく。 


この分析をもとに、共感して主訴に応えた一言がこちらです。         

「やめなくていい」 



けしからんですよね。ですが、このたった一言でクライエントさんの涙が溢れ出しました。
確かに、一般的に不倫は推奨されるものではないかもしれません。私も本当に「ぜひ盛大に不倫してください!」というつもりで言っているわけではないことをご承知おきください。
 

 経験したことがある方はお分かりになるかと思いますが、育児と介護、どちらかだけでも十分すぎる負荷ですが、それがダブルで襲い掛かってきているのです。1人でやりきれないのは想像に難くありません。にもかかわらず旦那さんは育児や介護どころか家事にもノータッチで独身時代と変わらずのびのびと仕事に精を出しておられました。実子も実母も他人事なのです。それでもAさんは、愛する人との家庭を自分が守らねばと、必死で日常を保とうとしておられました。時間も体力も奪われていく中で、限界まで張りつめた最後の気力が切れてしまわないよう何かにつかまろうと伸ばした手がかろうじて届いたのは、職業人を謳歌する夫ではなく隣人だった……Aさんにとっては、それが命綱だったのです。愛する家族を大切にしたいという思いとは裏腹に傷つけてしまっている、この事実に打ちのめされ崖っぷちに立つAさんに対し、「どんなに辛くても不倫はダメ」という正論は、命綱を切るも同然です。
命綱が必要なほどギリギリの世界をAさんは生きているのです。それでもその世界で生き抜こうともがくAさんの選択を尊重し、1人の人間として敬意を評する気持ちが「(不倫を)やめなくていい」という共感になりました。禁断の果実を食べずにはいられなかったアダムとイヴしかり、箱を開けずにはいられなかったパンドラしかり、禁じられると抗わずにいられないのもまた、人なのです。 

 たとえAさんが育児と介護を1人でやりきったとしても、夫からの承認は得られないでしょう。夫婦ではありますが、2人は別々の世界を生きているようなものだからです。時間も苦労も共有し協力し合う中で信頼関係が育まれ、お互いを敬い合える仲へと成長していきます。そうなれば自ずと承認欲求は満たされ、命綱など必要のない世界で生きられるようになります。 

 このままいけば、遅かれ早かれAさんは破綻します。
カウンセリングに来られた時点で対策は急務という状況に、3つの選択肢を提示しました。
①割り切って不倫をしながら1人で家庭を背負い続ける
②夫に家事、育児、介護への参加を要請する
③夫に助けを求められないのなら、第三者の協力を仰ぎ、仕事や習い事など家庭外にも所属先を持つ 

選択はAさんの自由です。
どのような道を行こうと、カウンセラーとしてのAさんへの敬意は変わりません。
「(不倫を)やめなくていい」という共感は、それをも包含した深い受容でもありました。
 1人の人間として存在を尊重されていることを実感する中で、Aさんは、③を目指して命綱を手放す決意をされました。 

 目標が定まり、そこに向かって車輪が回り出せば、自然と加速していけます。勢いよく走る中で新たな悩みが生まれ、また何かにすがりたくなった時には、いつでも来ていただければと思います。

介護苦からの不倫をやめたい ▶やめなくていい2
介護苦からの不倫をやめたい ▶やめなくていい2
介護苦からの不倫をやめたい ▶やめなくていい3
介護苦からの不倫をやめたい ▶やめなくていい4

2024/01/30

人物像を分析するー交流分析の活用ー

 カウンセリングでは、クライエントさんの人物像の分析が重要であると、これまでにもお伝えしてきました。 
しかし、分析と言っても何をどう捉えればいいのか、基準やルールがなければ、ぼんやりとした抽象的な感想しか持てずに終わってしまいます。
目の前のクライエントさんがどのような方であるかがしっかりと掴めていなければ、見立ても立てられず、カウンセラーとしての役割もうやむやになります。カウンセリングが成立しなければ、クライエントさんは失望し二度と相談には来て下さらなくなるでしょう。悩みとは単発的なものではなく、その方の成長過程の一部として人生を通して乗り越えていくものです。そのため、長期に渡る継続的な支援が望ましい中で、初回で離脱してしまうのは非常に残念ですよね。カウンセラーとしては申し訳なさや無力感を味わうことになります。 

 ということで、カウンセリングを学ぶ中では、分析法も習得していかれることをお勧めします。
先人たちが築き上げてくれた様々な精神分析理論がありますので、その中で自分の納得のいく理論を見つけて勉強してみてください。
私は、その中でも主に、交流分析を活用させていただいています。


 

 交流分析とは、1957年にアメリカの精神科医エリック・バーンにより創案された心理療法です。

交流分析では、人は自分の中に大きく分けて3つの要素を持ち、様々な刺激によりそれらが反応することで感情や思考などに影響を与え、その人特有の行動が選択されていくと考えます。その3つの要素がP(Parent)親の自我状態、A(Adult)大人の自我状態、C(Child)子供の自我状態で、平時にはこれらがある程度まとまって機能するのですが、何かのきっかけでバランスが崩れると悩みや葛藤が生じ、人間関係でのトラブルや健康状態などへと影響していきます。 

【自我状態】
P(Parent)親の自我状態とは、育ててくれた周りの大人たちから学んだ考え方や価値を自分の中に取り込み、生き方に影響を与えている部分です。その中には厳格さや厳しさを司る『批判的な親の自我CP(Critical Parent)』と、優しさと親切心に溢れる『保護的な親の自我NP(Nurturing Parent)』があります。

A(Adult)大人の自我状態とは、自分の中のコンピューターの部分です。大人と表現されていますが、人として成熟しているという意味ではなく、感情に左右されることなく冷静に物事に対処する役割を担っています。PやCが強く反応していることに気付いた時には、意識的にAを働かせて問題解決に取り組むなどして活躍してくれます。 

C(Child)子供の自我状態には、自分が子供時代に実際に感じた感覚や行動のほか、幼いながらも親に対応するために身に付けた対処法などが含まれます。その中にも、ありのままの本能的な感情が表出する『自由な子供の自我FC(Free Child)』と、親の愛を繋ぎとめるために“良い子ちゃん”を演じる『順応する子供の自我AC(Adapted Child)』という2つがあります。 

これらCP、NP、A、FC、ACを組み合わせてバランスを見ることで人格の特性やその時の自我状態を客観的に見られるだけでなく、極端に反応し問題を引き起こしている部分があれば、その他の自我状態を意識的に活用してバランスを取っていくこともできます。 

 この、問題があると自分で認識できた時には意識的にバランスを取っていけるという点が、交流分析の素敵なところですよね。挫折を繰り返しても人は必ず成長し変わっていけるという希望が持てます。考える葦である人間が、陽が昇り沈んでいく終わることのない繰り返しの日々を生き続けられるのは、未来への希望があるからです。

先入観を持たずに真っ白な気持ちでクライエントさんと向き合い、成長を心から信じて支援する、その姿勢を大切にしたいですよね。

人物像を分析するー交流分析の活用ー2
人物像を分析するー交流分析の活用ー2
人物像を分析するー交流分析の活用ー3
人物像を分析するー交流分析の活用ー4

2024/01/26

カウンセリングの見立ての立て方

 カウンセリングをスムーズに進めていくためには、カウンセリング開始から10分程度で相談の全容とクライエントさんの人物像を把握した上で、問題に対する見立てを立てておかなければなりません。言わばカウンセリングの設計図のようなものです。 

【カウンセリング中の流れ】
①傾聴(受容共感しながら相談の意図及び人物像を把握する)
②主訴を確認 
③不明点の確認 
④理解の共有 
⑤新たな視点の明示 
⑥解決に向けた選択肢を提案 
⑦クライエントさんの選択を力強く支援 

前回ご紹介した上記の流れに沿ってご説明すると、①の時点で⑤~⑦の設計図がほぼできており、②~④は精度を上げる確認作業と考えてください。 
この設計図がカウンセラーの理性を導いてくれます。以前ご説明した通り、カウンセラーは、目の前のクライエントさんに全心で寄り添いながら、頭の後ろの方でせっせと設計図を組立て、それを基にカウンセリングをハンドリングしていくという作業を同時に行っていきます。
見立て無しでカウンセリングを進めるのは、地図を持たずに見知らぬ土地で迷子になるようなものです。1人ぼっちで迷子になる不安感と恐怖を想像してみてください。カウンセリング中に迷子になったカウンセラーは不安と恐怖で動揺し、その狼狽はクライエントさんに如実に伝わります。

◎見立てが無いままカウンセリングをすると…… 
悩みを抱え自己肯定感が下がったクライエントさん 

カウンセラーの動揺を見て、傷付いた自尊心を補償するため無意識にマウントを取るスイッチが入る

カウンセラーを虐げることで一時的に気持ちを慰められる場所として、カウンセリングの間違った認識が刷り込まれる

依存関係に陥り、悩みの解決はおろか、状況悪化を招く可能性も



……

というように、カウンセリングにおいて見立てが不可欠なものであることがお分かりいただけたかと思います。
それでは実際に、どのように見立てを立てていくかをご説明します。 


【見立ての立て方】 
①主訴を明確にする 
②人物像を的確に捉える 
③問題の原因を考察 
④状況を別の視点から検証 
⑤解決に向けた選択肢を全て洗い出す 
⑥人物像に合わせたアプローチを構築 

この中で最も重要なのが②であると私は考えています。
主訴が正確に把握できており、論理的にアプローチが組み立てられていても、②が間違っていれば何の役にも立ちません。問題を抱える②があるからこそ苦しみが存在し、②に合わせた方法だから問題を乗り越えられるのです。②が中心となることで自然と全体が組み立てられていきます。やはりカウンセリングは人と人とが向き合い共に取り組む作業であることが分かりますよね。 

 相談開始から10分間のインテーク中に見立てを立てるのは、なかなかのスキルを要します。聴くことに集中し過ぎると依存関係に陥り、見立てに気を取られていると共感ができずクライエントさんは置いてきぼりとなってしまいます。ロールプレイトレーニングの際などには、人物像の分析を意識しながらやってみてください。身近な人物をこっそり分析してみると、意外な面が分かっておもしろいかもしれません。相手を深く知ることでより良い関係を育むヒントが得られますので、普段の日常の中でも楽しみながら学びを深めていけるといいですね。

カウンセリングの見立ての立て方2
カウンセリングの見立ての立て方2
カウンセリングの見立ての立て方3
カウンセリングの見立ての立て方4

2024/01/25

カウンセリング中の流れ

 カウンセリングと聞いてイメージするのは、クライエントさんとカウンセラーが対面で向き合い話をするシーンを想像する方が多いのではないでしょうか。もしくはフロイトが行っていた自由連想法では、寝椅子に横たわる患者に対して、傍に座る治療者が語り掛けるという構図です。大分古いイメージですね。

 

 有史以来長らく対面でのカウンセリングが主とされてきましたが、今日では電話や手紙、メール、チャットなど、様々な形態のカウンセリングが存在します。2019年のパンデミックにより、オンラインでの相談の需要は急増しました。時間や場所に制限されることなく、悩んでいる時にいつでも相談できるという利用者側の安心感はとても大きいですよね。
 
 

 カウンセラーとしては、対面は最も情報量が多く、電話は耳からの情報だけに注力し集中力を高められます。文字媒体は相談内容を熟読し落ち着いて返信ができるなど、それぞれに特色があるため、人によっては得意不得意もあるかもしれません。ちなみに私は全てのご要望に対応していますが、現状では電話やチャットでのご相談が主となっています。それぞれに特色があるにせよ、どの方法でも、カウンセラーのやるべきことは同じです。それでは、相談を受けてからの流れを簡単にご説明します。 

【カウンセリングの流れ】
 ①傾聴(受容共感しながら相談の意図及び人物像を把握する) 
②主訴を確認 
③不明点の確認
④理解の共有 
⑤新たな視点の明示 
⑥解決に向けた選択肢を提案 
⑦クライエントさんの選択を力強く支援 

対面や電話でのカウンセリングの場合はおよそ50分間というところが多いかと思いますので、始めの10分位までに①~④までを同時に進めていきます。
手紙の場合には③ができないため、相談の文面を深く読み込み、あらゆる可能性を考慮した納得しやすい返事という文章力が問われますね。 
メールやチャットの場合にも、クライエントさんと何度もやり取りができると言えども、無責任なメッセージには返信してもらえず、カウンセリングが途中で終わってしまうこともしばしばです。
少ない情報の中からいかに主訴を汲み取り、端的な言葉で深い共感を伝え返せるかという瞬発力を要します。 

⑤⑥では冷静かつ柔軟な思考と、クライエントさんの人物像に合わせた提案ができるかどうかというクリエイティビティが問われます。 
そして⑦です。①~⑥までかけて築き上げた信頼関係とクライエントさんの成長を信じるカウンセラーの人間力を総動員して未来へと送り出します。 

 こうしてみるとカウンセリング中というのはやることが盛り沢山でかなり忙しいですよね。カウンセラーは、単に相談を聴いているのではなく、心と頭と体をフル回転して向き合っていることがお分かりいただけるかと思います。相当な集中力を要するため、決められた時間以上に長くなる程、集中力が継続せずカウンセリングが成立しなくなっていきます。延長を希望される場合もあるかと思いますが、集中力が保てずにカウンセリングの質が悪くなっていくと依存関係に陥る隙が増えます。既定の時間で終了することがカウンセリングの質を保つことになりますので、カウンセラーとしての自覚として大事にしていただけたらと思います。

カウンセリング中の流れ2
カウンセリング中の流れ2
カウンセリング中の流れ3
カウンセリング中の流れ4
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